【至高】ジェントルボクサー

ボクシングは、拳を使って相手を打つスポーツ。それだけに感情的になりやすい。

ムキになったり、焦ったりすると、身体に余計な力が入る。力が入れば動きは硬くなりパンチは空回りする。焦って前に出れば、逆に相手のパンチをもらってしまうこともある。だからボクシングは、いかに落ち着いていられるかが大切。

僕は最近、選手たちに「穏やかな気持ちでやろう」と言っている。
「穏やかに」と聞くと、ボクシングとは真逆のように感じるかもしれない。
「そんな気持ちで勝てるの?」と思う人もいるだろう。

「穏やかに」という言葉を別の言葉に置き換えれば、「冷静に」とか「落ち着いて」ということになる。
でも、僕には「穏やかに」という言葉が一番しっくりくる。

僕が理想とするのは、呼吸が乱れない戦い方。
できることなら、鼻呼吸で戦えるくらいの穏やかさを保ちたい。呼吸が乱れないということは、それだけ無駄な力が入っていないということでもある。

身体に余計な力が入っていなければ、相手の動きもよく見える。
相手が見えれば、慌てる必要もない。そして結果的に、そのほうが勝ちやすい。

「力を抜く」「呼吸を整える」「相手をよく見る」
そして、「穏やかに動く」

「穏やか」という言葉を英語にすると、
「gentle(ジェントル)」らしい。知らなかった。

杉田ジムの選手には「ジェントルマン」であってほしい。
そして、リングの上では「ジェントルボクサー」であってほしい。

荒々しくなくてもいい。
感情的にならなくてもいい。
相手を憎む必要もない。
穏やかなまま、強くなればいい。

僕が思う本当の強さとは、感情を爆発させることではなく、どんな状況でも、自分を失わずにいられること。
それこそが、本当の強さなのだと思う。

穏やかに動く。
穏やかに戦う。
そして、穏やかに強くなる。

それが、僕の考える「至高のボクサー」だ。