師 畑中清詞と初ラウンド
2月1日、中日本ボクシング協会の総会と新年会が行われた。 その翌日、僕は師匠である畑中清詞会長とゴルフで初のラウンドをした。
せっかくの機会だし、記念に写真でも撮ろうかと考えたけど、結局やめた。こっ恥ずかしく、その気になれなかった。そもそも、二人の関係に写真は必要ないような気がする。
ラウンド中、特別に会話が弾んで楽しかったわけではない。かといって、面白くなかったわけでもない。それはおそらく、会長も同じだと思う。 師弟関係というのは、親子関係に似ている。ただそこに居る、それだけで完結する独特の空気感がある。
ちなみにスコアの方は、二人揃って散々な結果だった。 「今日はなかったことにしたいな」 そう言って笑う会長の言葉に僕も頷いた。
「竜平はホントによー練習しとった」
新年会の席、そしてゴルフの最中、会長は周囲の人たちに向かって僕のことをこう話していた。
この2月5日でラストファイトから丸20年が経つ。 20年という歳月を経てようやく認められた。そんな気がした。もしかしたら会長はずっと前から認めてくれていたのかもしれない。 ただ、僕自身がそれを理解できていなかっただけかもしれない。今になってようやく、師の言葉を素直に受け入れられる自分になれたのだと思う。
僕は畑中ジムのプロ第1号としてデビューし、11年間で35戦リングに上がった。20年前、2006年2月5日、会長が投げ入れたタオルが舞い、試合終了のゴングが鳴った。それが僕のボクサー人生の終わりでもあった。
いま改めて思う。 もし、もう一度人生をやり直してプロボクサーになるとしても、僕はまた「畑中清詞」を選ぶだろう。
たとえ、また世界チャンピオンになれなかったとしても、この人の下であれば、自分らしいボクシングを貫かせてくれる。そう確信できるからだ。


