緊張を愉しめる人が、時代を切り拓く

吉原圭亮プロの2戦目は8月3日に予定されていた。しかし、相手選手の精神的な問題によって直前でキャンセルとなった。良い仕上がりだっただけに本当に残念だった。

でも、この出来事を通して感じたことがある。

それは──
これからの時代、試合前の緊張を「気合い」や「根性」で乗り越えるんじゃなくて、その緊張すらも“愉しめる”かどうかが大切なんじゃないかということ。
昭和や平成の頃は、「気合いでいけ!」「根性で乗り切れ!」、そんな感じだった。でもそれって、本当は緊張を「敵」扱いしていたんじゃないかと思う。

緊張は悪いものではない。緊張はそれだけ自分が真剣にその場に向かっているって証拠でもある。それに、緊張があるからこそ、集中も生まれるし、感覚も研ぎ澄まされる。だからこそ、「緊張してる自分」すらも受け入れ、味わい、愉しめるかどうか。これが、これからの選手に必要な力ではないかと思う。

気合いで無理やりねじ伏せる時代は終わった。今は、のびのびと愉しむ力が本当の武器になる時代だと思う。そしてそういう選手こそ、これからのボクシング界を、そしてその先の人生を切り拓いていくんだと思う。

圭亮プロのように、真剣に向き合ってきた選手こそ、こういった経験すらも糧にして、より強く、しなやかに前に進んでくれると信じている。