基本なくして上達なし
「基本ができない選手は上にはいけない。選手のやりたいようにやらせていては、そこそこの選手で終わってしまう。俺もお前には、基本練習を厳しくやらせたよ。」
これは、現役時代に指導してくださった津々見敏英トレーナーから、昨年送られてきたLINEに書かれていた言葉。津々見先生は、日本ボクシング界でトレーナーとして最高の賞である「エディ・タウンゼント賞」を受賞した名トレーナーだ。その指導は厳しくも的確で、多くの選手を育て上げてきた。そんな先生のもとで学んできたからこそ、今改めてこの言葉の重みを深く実感している。
これまで「基本」という言葉を、何となく理解しているつもりでいた。しかし、その本質を本当に捉えていたかと問われれば、そうではなかったかもしれない。
僕は今から30年前、1995年4月にプロデビューした。手数の多い選手と言われていたが、その手数もただ闇雲に出していたわけではない。しっかりと基本を身につけ、的確に的を捉えることができていたからこそ、勝ち上がることができたのだと思う。
派手なテクニックやコンビネーションに目を奪われがちな時代だからこそ、地味であっても揺るがぬ土台——すなわち基本の大切さを選手たちに伝え続けていきたい。
